- イヌのコンディショニングの定義が理解できる
- ヒトとイヌのコンディショニングの本質的な違いが分かる
- なぜイヌのコンディショニングにプラットフォームが重要なのか、理論的に理解できる

イヌのコンディショニング(フィットネス)について学び始めると、必ず登場するのが「プラットフォーム」という器具です。
しかし、ヒトのコンディショニングや筋力トレーニングでは、プラットフォームを使わずにできるエクササイズが、多数存在します。
この違いに、疑問を持つ人も少なくないでしょう。
この疑問を解くためには、まず「コンディショニングとは何か」という定義から整理する必要があります。
イヌのコンディショニングとは、筋力・バランス・柔軟性・固有位置覚を向上させ、運動能力・健康・パフォーマンスを回復または向上させるための体系的なアプローチのことを指します。
コンディショニング・エクササイズにおいて最も重要なことは、イヌが正しい姿勢と動作パターンを身につけることです。
では、どのようにイヌに「正しいフォーム(姿勢)」を伝えたら良いのでしょうか。

ヒトのコンディショニングや筋力トレーニングでは、指導者(トレーナー)は基本的に言葉で微細なフォームの調整を行います。
たとえば、以下のように非常に細かなフィードバックが可能です。
- 「左足をあと2cm右に移動してください」
- 「膝が内側に入らないよう意識しましょう」
ヒトは、身体の情報(重心、関節の角度など)を、言葉を手がかりにイメージしながら調整することができます。
つまり、ヒトのコンディショニング・エクササイズは、「言語によってフォームを修正する」という前提の上に成り立っています。
この前提があるからこそ、器具を使わなくても、正確なフォーム指導が可能になります。
一方で、イヌはヒトと同じようにはいきません。
たとえば、犬に「後肢を1㎝後方に移動してください」と言っても、正確に理解して、実際に行うことは難しいでしょう。
つまり、イヌは「言語による微細なフォーム調整ができない」という前提を理解する必要があります。
では、どのように正しいフォームを伝えればよいのでしょうか。

コンディショニングで使うプラットフォームは、イヌの身体サイズを詳細に計測したうえで、個体に合わせて設計されたものを使用します。
この個体専用のプラットフォームを使うことで、言語の代わりに「フォームの調整」を詳細に伝えることができます。
プラットフォームは、主に以下のような機能があります。
- アライメント(※正しい姿勢)修正
個体に合わせた適切な幅と長さのプラットフォームを使用することで、正しい姿勢(前肢と後肢の位置と角度、バランス、重心など)を誘導することができます。
正しい姿勢でエクササイズを反復練習することで、筋肉の左右差がある犬でも、正しい姿勢を学習し、筋肉バランスを修正することができます。 - 学習の効率化&ストレス低減
イヌのコンディショニング・エクササイズでは、ヒトがイヌの足を掴んで位置を動かすような物理的なフォーム修正は、基本的に行いません。
このようなフォーム修正は、イヌによってストレスがかかりやすいほか、緊張を引き起こしやすく、身体を痛める問題にもなります。
プラットフォームを使用して、「正の強化」をベースとしたエクササイズを実施することで、ストレスを最小限にして、学習効率を高めることができます。

もちろん、コンディショニング・エクササイズは、床などの地面で行うことも可能です。
しかし、フォームの調整が非常に難しくなることに注意してください。
「できているように見えるが、実際は誤ったフォーム」が強化されてしまう可能性があります。
ヒトであれば、言葉でフォーム修正することができますが、イヌはそれができません。
だからこそ、誤った学習が起きにくい環境づくりが、非常に重要になります。
イヌのコンディショニングにおいて、プラットフォームは「あると便利な器具」ではありません。
イヌは、言葉でフォームを微調整することができません。
だからこそ、「環境」を調整して、身体の適切な使い方を伝える必要があります。
その役割を担うのが、プラットフォームなのです。
ヒトのエクササイズ指導において、「言葉」が不可欠であるのと同じように、イヌが適切なフォームを学習するために「プラットフォーム」は不可欠です。